パーマ=パーマネントウェーブ(permanent wave)
パーマとは、毛髪に対して道具(ロッド)や薬剤を用いて毛髪の構造や状態をウェーブ状に変化させ、
ヘアスタイルを作りやすくしたり、また作ったスタイルを長持ちさせるといった役目であり、
ヘアスタイルを作るための重要な手段の1つである。
パーマの歴史
パーマネントウェーブの歴史はそのまま女性のファッションの歴史といえる。
歴史は紀元前3000年までさかのぼる。
エジプトの婦人たちは毛髪に湿ったアルカリ性の土を塗って、木の枝に巻き付け、
エジプトの太陽の下で乾燥させウェーブをつける。
これがパーマネントウェーブのはじまりといわれています。
時代は過ぎ、近代のパーマの開祖といわれているドイツ人チャールズ・ネッスラーが1906年に発明した、
熱を利用したマシンウェーブが隆盛を極めた。
それから機械を用いずに化学薬品の加水分解を利用したマシンレスウェーブ(ケミカルヒーティング式)が現れ、
その後、毛髪の内部構造やケラチンの分子構造が解明されるとともに、
現在一般的に使われているチオグリコール酸を主剤とした常温で処理できるコールドパーマネントウェーブが定着した。
パーマネントウェーブの歴史は、ヒート→ウォーム→コールドの歴史とも言える。
パーマ年表 | ||
---|---|---|
1916年~1935年 第1期 デンパツ時代 | 1916年(大正5年) | 大正デモクラシー 洋服が流行。(その頃パーマネントマシンがアメリカから輸入された説がありますが、明らかではない。 |
1921年(大正9年) | パーマネントウェーブが急激に盛んになってくる。電熱パーマ(デンパツ)の第1期隆盛を迎える。 | |
1930年(昭和5年) | 電気を用いない加熱方式(薬品の熱を利用したマシンレスパーマネント)が相次いで出現する。後の加温パーマの元祖となるのがこのマシンレスパーマ、台湾で大ヒットしたのを例外として日本を含む世界中では普及しなかった伝説のパーマ方式。 | |
1935年(昭和10年) | この頃から急速にパーマが普及、キャリアウーマンを中心に流行したが、すずめの巣だとか良風美容に反すると非難をあびる。 | |
1936年~1944年 戦争時代 | 1936年(昭和11年) | イギリスで亜硫酸水素ナトリウムで40度位の加温でウェーブを得られることが発表され、これから広く研究されてウォームパーマ、テピットパーマと呼ばれ実用化される。また、室温でパーマをかける研究も行われ、コールドパーマとなる。 |
1939年(昭和14年) | 都内に美容室は約850件。1200台以上の加熱器具が存在。(<髪が自分の好きなように結べて便利>としてパーマの実用性が認められる。) | |
1940年(昭和15年) | アメリカ人マックドナウ等らが、チオグリコール酸を主剤とするコールドパーマを開発。 | |
1945年~1954年 第2期 デンパツ時代 | 1945年(昭和20年) | 電髪パーマが第2期ブームとなる。公務員の初任給が3,000円位の時代にパーマ料金はなんと400円もしたのです。薬液のことをソリューションと呼んでいた為、つい最近までコールドパーマ液のことをソリューションと呼んでいる技術者が存在。 |
1950年(昭和25年) | 朝鮮動乱の勃発が、我が国の景気回復のきっかけとなり、第1期デンパツ黄金時代を迎える。 | |
1955年~1970年 黒船時代 | 1955年(昭和30年) | アメリカのコールドパーマ特許権利者であるセールス・アフリエイツ社が特許権利を理由に日本のコールドパーマに対し、差し押さえ申請ををおこす「コールドパーマネントウエーブ特許事件」。 |
1956年(昭和31年) | コールドパーマネントウェーブ用剤の最低基準が制定。これから法律としての規制が始まる、チオグリコール酸のコールドパーマを認定 | |
1957年(昭和32年) | アリミノ・百日草・セフティ・スターレットの4社により、ワールドケミカル株式会社を設立することで日本各メーカー(特許権利会社)の営業継続を助ける。 | |
1960年(昭和35年) | コールド・パーマネントウェーブ用剤の最低基準が廃止。パーマネントウェーブ用剤基準の制定。(電髪パーマネント用剤除く)。ペーハー範囲が拡大される、チオグリコール酸系加温二浴式パーマ・酸性パーマを認定。 | |
1961年(昭和36年) | 新薬事法制定で、医薬部外品が制定される。パーマは化粧品から医薬部外品となる、現在の化粧品パーマの出現。 | |
1966年(昭和41年) | パーマの使用上の注意を添付させることを義務づける。 | |
1968年(昭和43年) | パーマネントウェーブ用剤基準の第2回改訂となる、システィンを主剤とするコールド二浴式とチオグリコール酸系のコールド一浴式を認定。 | |
1971年~1992年 パーマ成長期 | 1975年(昭和50年) | システィンパーマ製品化。 |
1978年(昭和53年) | 加温、赤外線パーマ機が登場。(サイオスのコンピュータパーマの出始め) | |
1980年(昭和55年) | 薬事法改正で指定成分及び安定性が3年未満の製品に使用期限の表示が義務づけられる。 | |
1985年(昭和60年) | パーマネントウェーブ用剤基準の第3回改訂となる。縮毛矯正剤・チオコールドの過酸化水素の2剤、チオグリコール酸系パーマの1剤用時調整発熱剤の認定。 | |
1993年~近年 パーマビッグバン 時代突入 | 1993年(平成5年) | パーマネントウェーブ用剤基準(法律)の廃止。パーマネントウェーブ用剤承認基準(局長通知)の制定、加温二浴式システィンパーマ・システィンパーマ2剤過酸化水素・システィンパーマ1剤アセチルシスティン・用時調整発熱二浴式2剤臭素酸塩・縮毛矯正剤2剤過酸化水素・コールド二浴式パーマネントウェーブ、チオ濃度がジチオ併用で7%~11%・コールド二浴式縮毛矯正剤、チオ濃度がジチオ併用で7%~11%を設定する。~ビッグバン時代へ~パーマの基準が大幅に緩むことにより、多製品化の消費者基準(サロン基準)となり、メーカーにとっては戦国時代となる。 |
1999年(平成11年) | 加温二浴式縮毛矯正剤の高温整髪用アイロン180度以下までの使用許可。 | |
※ | 形状記憶パーマ時代突入、デジタルパーマ、デジタルフリー、マイクロパーマ、3Dキュール・・・ |
毛髪の構造について
毛髪の4つの結合
水素結合
水素結合です。
髪が濡れると結合が切れて、乾かすとまた繋がる結合のことです。
濡れると切れる結合なので寝癖やブローに関係してきます。
しっかり乾かしていると寝癖がつきにくく、また、乾いているとブローで形はつきません。
雨の日に髪がまとまらないのは、毛髪が水分を吸収してこの水素結合が切れてしまうからです!
イオン結合
イオン結合です。
髪のpHが崩れてくると結び付きが切れてしまいます。
pHは 4.5~5.5 の時に一番安定しております。
関係するのはパーマや、カラー、酸性シャンプーですね。
パーマやカラー剤はpHが高くて髪を膨潤させて薬剤を浸透させます。
それをしっかりと戻していくのが重要となります。
パーマやカラーの後はpHを4.5~5.5までなるべく戻す。これが大事になります!
leaLEAでは薬剤を使った後は必ずpH値を戻す施術も一緒にさせていただきます!
シスチン結合
シスチン結合。エスエス(S-S)結合とも言います。
このシスチン結合を利用してパーマをかけていきます。
パーマの1剤(還元剤)で結びつきを切って、髪を曲げて、2剤(酸化剤)で再結合させていきます。
まずは、過剰にシスチン結合を切ったりすると駄目です。
次のペプチド結合も少しづつ切れちゃうんです。
そして、シスチン結合を切ったら、しっかりと再結合させることが重要になります。
これが不十分ですと、パーマが早く取れてしまいます。
ペプチド結合
ペプチド結合です。
これが基本的な結合ですが、髪の縦の繋がりになります。
髪は繊維状で縦に強い構造となっていて、このペプチド結合が髪の命!
命のつながりです。
これが切れると二度と戻りません。
過度なアルカリ剤や加水によってペプチド結合が分解されます。
関係するのは断毛・枝毛ということです。
枝毛になってるということは、このペプチド結合が切れてしまっているので、もう戻りません。
パーマのかかるしくみと1液と2液の働き
パーマ剤の反応プロセスと4つの結合は深い関係があります。
4つの結合のうち3つの結合を切断し、美容技術の中で最も効率的に髪を軟化させる薬剤がパーマ1剤です。
1剤の主成分とはたらき
主成分は、還元剤としてのチオグリコール酸類と毛髪の膨潤及び還元の促進効果を持つアルカリ剤である
1液の毛髪への働きは、アルカリにより毛髪が膨潤→薬液浸透→チオグリコール酸によりシスチン結合切断、となる
- 水素結合 ←薬剤塗布で切断
- イオン結合 ←パーマ剤がアルカリ性なので髪のpHもアルカリ性に傾くことによって切断
- S-S結合 ←1剤の還元作用で切断
※すべてのシスチン結合が切断されるわけではなく、強いパーマ剤でも髪のシスチン結合の約20%しか実際には切断されていません。
2剤の主成分とはたらき
酸化剤による酸化作用が主な働きで、
- 臭素酸塩
- 臭素酸カリウム
- 過酸化水素
などが主成分である。
2液の毛髪へのはたらきは、1液で切断されたシスチン結合を再び結合させる役目である。
パーマ2剤の酸化剤で戻せるのは、シスチン(S-S)結合だけです。
pHを等電帯(pH4.5~5.5)にし、髪を乾かすことで、イオン結合と水素結合が元に戻ります。
ウェーブはこの3つの結合で作られているので、パーマ処理においては、3つの結合をしっかりと戻すことが重要です。
これができていないと、弾力の低下と間充物質の溶出によりウェーブ形状の固定化ができず、
パーマがとれやすくなります。
さらに、髪の強度低下、水分量低下にもつながります。
パーマネントウェーブのかかる原理
1液
シスチン結合を緩め毛髪に可塑性を与える。
シスチンを還元する(酸素を取り除く)ことにより結合をゆるめる。
還元剤は<チオグリコール酸>や<システイン>が主に用いられる。
ロッド
シスチン結合を任意の形状に変形させる
2液
変形させた状態を固定する。
酸素を与えること(酸化)により、シスチンの再結合を促す。
酸化剤としては<臭素酸塩>や<過酸化水素>が用いられる。
ここまでパーマの仕組みになります!
実は結構化学が関係しているのですよ!
理論も分からずに当てている美容師もいます!
それこそ薬剤のハード・ノーマル・ソフトのみで基準を作り、
ハードはダメージの少ない髪の毛に!
ソフトはダメージがある髪の毛に!
なんて分類で当てている美容師もいます!
薬剤がどこに反応し、今の髪の毛の状態がどうなのか?
大きく関わってくる事を知っている方がダメージも最小限でパーマを当てれます!
次回はパーマ剤の分類や種類についてお伝えしようと思います!